税務署から情報は集められている法定調書とは?!富裕層も注意する!
こんにちは。税理士の山下久幸です(^o^)
今日は「法定調書」を学びましょう!
法定調書とは1月にやる仕事で、この時期、税理士業務は非常に面倒なんです。。。
法定調書、給与支払報告書、償却資産税といった書類を作成し、税務署などに申告しないといけません。
本来これらは税務署がやればいいのに、我々(税理士や会社)が請け負っているようなものですからね……。
その中でも「法定調書」は大事な書類です。
忘れていると大変なことになりますので、ここでしっかり勉強しておきましょう!
法定調書とは?
毎年1月に税務署へ提出する書類で、「誰に、どのようなお金を払ったのか」をまとめた書類です。
主に以下のような書類をまとめて税務署へ報告します。
- 源泉徴収票(給与)
- 支払調書(報酬)
「誰に」というのは、基本的には個人です。
法人は売上をもらったら税金の申告をしますが、個人の場合はその人が税金の申告をするかどうか分からないからです(笑)
その情報を集めるため、お金を支払った「側の人」に報告をさせるのです。
例えば年に1~2回ほどセミナー講演をしている人が、その分を申告し忘れているケースが多く見受けられます。
税務署はそういった情報を集めて、申告漏れがないかどうかをチェックしているのです。
ちなみに最近、僕の会社で法定調書を提出し忘れていました(笑)
お客さんの調書は作って、自分のを忘れていたという、よくある話です。
最近は、法定調書の提出が無い場合、忘れた頃に税務署から催促の書類が届きます。
昔なら提出しなくても、とやかく言われなかったですが、最近はこういうのが来るようになったんですね(笑)
厳しくなりました。
税務署から情報を集められている
国(税務署)は、皆さんが収入を得ていることを把握している、と思っておいた方が良いでしょう。
副業の収入や仮想通貨の売買など、これらの情報はすでに知られていますので、ちゃんと申告しておきましょう!
ちなみに、海外への送金や入金があった場合も、氏名・日付と共に税務署に銀行が報告する義務があります。
例えばシンガポールに1千万円送ったのであれば、何かしらに投資している可能性があることがわかります。
なのに、シンガポールからの収入の申告がなければ怪しいですよね。
»»»海外へお金を送る人、海外からお金を送ってもらう人は、国外送金調書のことを知っておこう
このように、税務署は皆さんの情報を集めて精査し、申告漏れが無いかを把握しています。
また、申告していないとペナルティがあります。
加算税や延滞税がかかると、例えば100万円払うだけで良かったのにプラス10万、20万と高くついてしまったりします。
マイナンバーで加速する
現在は、証券会社の口座や仮想通貨の口座を作る際にも、マイナンバーが必須になっています。
マイナンバーがあることで、例えばコロナの支援金の入金が早くなるというメリットがあるかもしれませんが、それ以外はほぼほぼデメリットですよね。。。
なぜなら、その人の預金や証券会社の口座が全部バレてしまうわけですから。
となると、相続税の申告ってこれで終わりなんです(*^^*)
預金や証券会社はマイナンバーで分かり、不動産は登記を見れば一発で出てきます。
令和2年分の相続財産の金額の構成比の推移を見ると、土地27.9%、現預金38.4%、有価証券14%、家屋5.8%、その他14%となっています。
つまり預金、証券会社、不動産で86%を占めているわけです。
»»»令和2年分 相続税の申告事績の概要
国が8割以上も把握しているなら、相続税の申告って必要なのかな?と思いますよね(*^^*)
先に税務署が把握している分の相続税の納付書を送りつけて、「なにか特例を使って税金下げたければ自分で申告してね!」という感じにしてもいいんじゃないでしょうか(笑)
富裕層の法定調書
相続税の話が出たので、法定調書と関連するネタを(*^^*)
相続税=富裕層みたいな感じで、お金を持っている人が相続税を払います。
その富裕層の方は2つだけ、大事な調書を出さなければいけません。
それがこちらです。
- 財産債務調書
- 国外財産調書
では、解説していきますね(*^^*)
財産債務調書とは?
文字通り、財産と債務を調べた書類です。
自分が持っている財産を税務署に申告しなければいけません。
財産債務調書は、以下の2つに当てはまる人が対象です。
- 所得が2,000万円超
- 財産が3億円超、または1億以上の有価証券を持っている
所得2,000万超は、給与だけであれば年収2,200万円以上あれば対象になりますね(*^^*)
そして、1億以上の有価証券だったら、イケてる地方の中小企業であれば、自分の会社の株式で1億以上の価値がある経営者は多いと思います。
みなさん、調書出してんるんですかね??(笑)
»»»財産債務調書作成サービス
ではなぜ3億の財産以外に、1億以上の有価証券を報告させるかというと、出国税という税金をとるために税務署は把握したいからです。
出国税をザックリ説明すると、シンガポールなどの株式を売却しても税金がかからない国に移住されると、持っている株式の含み益に税金がかけられないため、1億以上の株式を持っている人は、日本で株式の税金を払って日本を出てね、というものです(*^^*)
結構えげつない税金ですのでお気をつけ下さい!
詳細は、こちらのページでご確認下さい。
»»»出国税(国外転出時課税制度)サポート
国外財産調書とは?
2つの目の調書は、海外にある財産をまとめて申告してね、ということです。
国外財産調書は、以下に当てはまる人が対象です。
- 海外に5,000万円超の財産を持っている
※いずれも12月31日現在の財産です。
国外の財産は税務署も把握しづらいので、事前(生前)に申告させておこうという魂胆です(笑)
やはり、残された遺族も知らないものもありますからねー。
さてこの2つの調書は、いずれも12月31日時点で財産がどれくらいあるかを計算して、翌年の3月15日までに申告をする必要があります。
モレなく出しておかないと後々困ることになりますので、充分ご注意ください!
»»»国外財産調書作成サービス
★令和4年度税制改正予定
財産債務調書の変更があり、確定申告で所得が2,000万円を超えていなくても、財産が10億円以上ある人は、財産債務調書を提出する義務があるようになります。
また、提出期限はこれまで確定申告期限と同じ3月15日でしたが、6月30日までと延期されます。
※令和5年分から
これらの税制改正でも分かるように、国も富裕層の財産には本気になってきたということです。
税金はあるところからしか取れませんからね・・・。
まとめ
- あなたの収入や財産は税務署にバレている
- 富裕層は、2つの調書の漏れがないように
- 確定申告は適正に!
これから確定申告のシーズンになりますので、どんな取引があって、海外の財産をどれくらい持っているかを顧問税理士さんにお話しておくと、税理士さんもやりやすいと思います。
今日のテーマは法定調書。皆さんの財産は税務署に筒抜けですよ、というお話でした(*^^*)
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