【節税術】親や祖父母も扶養控除の対象! 別居でも OK——要件と障害者控除を税理士がわかりやすく解説
「うちは同居していないから扶養控除はムリ…」と思っていませんか?
実は 収入要件さえクリア すれば、遠方で暮らす親や祖父母でも扶養親族として申告でき、最大 58 万円 の所得控除(+住民税控除)が受けられます。今回は現役税理士が実例付きでポイントを解説します。
1. 扶養控除の基礎 ― 控除額と区分
区分 | 所得税控除額 | 住民税控除額 |
---|---|---|
一般扶養親族(16歳以上) | 38 万円 | 33 万円 |
特定扶養親族(19~23歳の学生) | 63 万円 | 45 万円 |
老人扶養親族(70歳以上) | 48 万円 | 38 万円 |
同居老親等(70歳以上で同居) | 58 万円 | 45 万円 |
※ 控除額は 2025 年度税制。住民税は翌年度課税。
扶養に入れられる 3 つのキーファクター
- 年間所得 48 万円以下(給与だけなら収入 103 万円以下)
- 生活費・医療費を継続的に仕送りしている
- 同居は必須ではない(老人ホーム入居・長期入院でも OK)
2. ケーススタディで理解を深める
事例①:別居の母(72 歳)へ毎月 3 万円仕送り
» 東京在住・年収 650 万円の長男が大阪に住む母を扶養。
- 母の所得:年金 55 万円 ⇒ 所得 0 円(48 万円以下)
- 長男の控除額:48 万円
- 節税効果:所得税 20% × 48 万円 = 約 9.6 万円、住民税 10% で約 4.8 万円 → 年 14 万円超 の税負担軽減
事例②:同居の祖父(78 歳・要介護2)
+「同居特別障害者控除」も併用
- 祖父は認知症で市区町村から「障害者控除対象認定書」を取得
- 控除額:扶養 58 万円 + 同居特別障害者 75 万円 = 133 万円
- 所得税 23% 層なら節税額だけで 約 30 万円
事例③:仕送り証明不足で否認されたケース
» 別居の父へ年 20 万円だけ送金。
税務調査で 「送金頻度が少なく生活費と認め難い」 と指摘され扶養控除を否認。結論:「仕送りの定期性+領収・通帳の写し」 が立証のカギ。
3. 障害者控除 ― 要介護でも対象になる
区分 | 所得税 | 住民税 |
---|---|---|
障害者 | 27 万円 | 26 万円 |
特別障害者 | 40 万円 | 30 万円 |
同居特別障害者 | 75 万円 | 53 万円 |
ポイントは「障害者手帳がなくても要介護認定や主治医意見書で認定されるケースがある」という点。
まずは市区町村の税務担当窓口に確認しましょう。
4. よくある Q&A
Q1. 年金収入は 108 万円以下なら所得 48 万円以下になる?
はい。公的年金控除が 60 歳以上 65 歳未満は 60 万円、65 歳以上は 110 万円です。
65 歳未満:年金 108 万円 ⇒ 所得 48 万円
65 歳以上:年金 158 万円 ⇒ 所得 48 万円 となります。
Q2. 親の医療費を自分が払ったら医療費控除と二重取りできる?
可能です。
扶養控除と医療費控除は別の控除なので二重取りではありません。領収書と支払い証明を保管しましょう。
Q3. 仕送り方法は現金手渡しでも大丈夫?
なるべく銀行振込(ネットバンキング可)で証拠を残すのが安全です。
現金の場合は受取書を毎回作成・保管しておくこと。
5. まとめ — 「親の仕送り」は税制優遇のチャンス!
親や祖父母への仕送りは感謝の気持ちだけでなく、賢い節税 にもつながります。
扶養控除:最大 58 万円 + 障害者控除:最大 75 万円 = 計 133 万円 の所得控除は見逃せません。