会社が赤字になったときの法人税はどうなるのか?税金は免除されるの?
こんにちは。税理士の山下久幸です(^^)
今日のテーマは「赤字になったときの税金計算の違い」です。
少々難しい話ですが、基本は足し算、引き算で、少々掛け算が出てくるくらいですので、お付き合いお願いします!!
会社の赤字は2パターン
赤字の場合の税金計算は、大きく分けて2パターンあります。
- 欠損金の繰越控除
- 繰戻し還付
ちょっと聞き慣れない言葉が出てきますので、以下で解説しますね(^o^)
1.欠損金(赤字)の繰越控除
欠損金とは、要するに赤字という意味です。
その欠損金をを繰越して控除するので、今年の赤字を、翌年以降の利益と相殺するという仕組みになります。
簡単に数字を使った事例で見ていきましょう。
3月決算の事例
2020年3月 ▲1,000万円の赤字
⇒ 税金ゼロ(均等割のみ)2021年3月 1,500万円の黒字
⇒ 1,500−1,000=500万に税金がかかる
2019年4月~2020年3月で、赤字が1,000万出ました。
赤字なので、法人税や利益に課される税金はゼロ(均等割りを除く)です。
そして翌年2021年3月期、1,500万円の黒字になったとしましょう。
»»»均等割のことはこちら
この場合、去年が1,000万の赤字で今年1,500万の黒字から、法人税の計算は差し引き500万円で計算します。
注意点としては、赤字が繰り越せる期間は無制限ではなく「10年間」です。
よって、10年以内に黒字にしないと、赤字は切り捨てされてしうのです!
逆に、10年赤字が続いて生き残る会社はいないと思いますが(笑)
そのため、もし赤字続きで会社を閉めると、昔払った税金を取り戻すことができないので損になります。
そういった場合にある救済措置が、次の「繰り戻し還付」です。
2.繰戻し還付
繰り戻し還付とは、今年赤字だったとき、去年の税金(黒字と相殺)を取り戻す手続きのことを言います。
先ほどの繰越控除は、今年の赤字を「翌年」の黒字を相殺するものでした。
繰り戻し還付は、今年の赤字を「去年」の黒字と相殺できるという仕組みです。
では簡単に事例で見ていきましょう(^o^)
繰り戻し還付の事例
2020年3月 1,000万円の黒字
⇒ 法人税 200万円(地方税は別にあり)2021年3月 ▲800万円の赤字
⇒ 前年の法人税を還付してもらう200万×800万/1,000万=160万円の税金還付
※法人税はザックリとした金額です
通常であれば800万円の赤字は、2022年3月以降の利益と相殺(欠損金の繰越控除)になりますが、これを2020年3月期(前年)、の1,000万の黒字にぶつけて、取り戻すことができます。
去年、法人税を200万払っているので、1,000万に対して200万の法人税を払っていることになります。
この800万の赤字の分を計算すれば200万×800万/1,000万の利益で、160万円の税金を取り戻すことができます。
繰り戻し還付の注意点
- 法人税のみしか対象とならない(地方税なし)
- 税務調査があるかも!?
ひとつめは、これは国の制度であるため、国の法人税しか還付されません。
つまり、都道府県に払う会社の地方税は対象とならないのです・・・。
僕ら税理士の計算もややこしいんですよね(笑)
もうひとつの注意点は、繰り戻し還付とは、税務署からしてみれば税金を返す(還付)ことになるので、あまりやりたくはないんですよね(笑)
ですので、あまり怪しい数字や取引だと税務調査の可能性があります。
とはいえ、まっとうな会社であればちゃんと還付されるので安心してください(^o^)
まとめ
- 赤字であれば、その分は翌年以降に税金が減る
- 資金繰りが厳しいなら繰戻し還付を使う
- 会社の最後は黒字で終わる方が良い
起業したての頃は、赤字を出しても繰り越し控除が10年間あるので、その期間中に取り返せば大丈夫です。
しかし、いざ会社が終わるとなったときに赤字が続いていたら、過去は取り戻せなくなってしまいます。
ですので、最後の最後は黒字で終わらせるという意識で臨むのが大切です!!
「終わりよければ、すべて良し!」ですからね(^o^)
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